2013年4月17日 おそれて、こわがらず / 権上かおる

みなさま
権上です。

汚染水問題その2です。

先日のメールで、私の疑問への回答やご意見などたくさんいただきました。ありがとうございました。
さらに基本へ戻るかもしれませんが、続けて考えていきたいと思います。

●まとめ●
・事故を起こした地下貯水槽1~3号の貯水量は、3万8000トン、容量は代々木国立体育館プールの約50.7個分
・穴掘って、ポリシートに水を直接ためる設備は、農業用溜め池にしか例はないのではないか
・産業廃棄物処分場で雨水漏れを起こしていることは、東電と保安院は承知していて2重シートを3重シートにして
 安全性を確保したと言う見解
・使用後1ヵ月もたたない段階での事故
・核種については、公表はない
・最も漏水量の多い2号で120トン、含まれる放射性物質、7100億ベクレル
 (計算をすると130トン、7200億ベクレルと公表値は低い!?)
・この量は、2011.4.4~4.4.10の意図的放出や同5.10~5.11の漏水に放射性物質量と同等のオーダー
・公表された漏水の濃度から2号貯水槽の放射性物質の総量を求めると78兆ベクレルで
 2011.4.1~4.6の漏洩の約1000分の1のオーダーに相当する高濃度である。

・・・・・・まとめを得た根拠・・・・・・

【事故が起こった地下貯水施設について】
(1)問題の地下貯水槽は汚染水対策の最も主要な設備であった。代々木国立体育館のプール(50×12×1.25m=750m³=750トン)を枡にして比べると、
   容量(東洋経済2013.4.9より) 代々木プール枡の
   第1号;     1万3000トン      約17.3個分
   第2号;     1万4000トン      約18.7個分
   第3号;     1万1000トン      約14.7個分
   合計       3万8000トン      約50.7個分
   いかに膨大な汚染水を受け取る施設だったかがわかります
         
(2)(前回の私の疑問でもありました)穴掘って、3重シートに直接貯水する施設は、農業用水の溜め池程度の事例はあるそうです。しかし、農業用水溜め池は、3-5%の漏水率を認められているものです(=このくらいは漏れてもいい、もちろん放射性物質を含む水ではありません)

(3)保安院、東電はシート方式は雨水もれをおこすことを承知の上で許可・使用していた。全国で400ヵ所の産業廃棄物処分場(ベントナイトシートとポリエチの二重構造)で雨水漏れを起こしているが、もう一枚ポリエチシートを加え、3層にして安全とした。(16日東電記者会見,福島民報2013.4.17)

(4)2013年2月に貯水を始め、3月にはや漏水が確認したようだ(東京新聞2013.4.7)。劣化や腐食の問題が言えないことを表している(=根本的施工計画の問題)

(5)汚染水に含まれる核種は、(私の調べた範囲では)公表されていない以下はみなさまからいただいたご意見です(ここでは正否の判断はいたしません)。
   ・多核種除去装置(アルプス)はまだ試運転段階で本格稼働とは言えない現状
   ・サリー(SARRY)東芝製は稼働しており、ゼオライトによりセシウムの回収はしている
   ・核分裂生成物中の希ガスや蒸気圧の低い気化しやすい元素はもう抜けきり、
    それよりも大量に含まれているのがトリチウムH3と炭素14ではないか?
   ・いまも原発では核反応がすすみ、日々生まれているヨウ素
    (水溶性=水に溶けやすい,陰イオンはゼオライトでは回収できないためサリーを通過しても回収できない)が主であろう
   ・ストロンチウム90,ルテニウム106,セシウム137,セリウム144,セシウム134が2年経過後の主の残存核種

(6)漏洩量(放射性物質量)を2号貯水槽について、専門職の方に算出いただきました。
  (根拠となる数字は、福島民報2013.4.7)
  ①大きさ(地表部):縦62m・横55m・深さ6m
  ②漏水量:120トン
  ③含まれる放射性物質:7100億ベクレル(→600万ベクレル/kg×120000kg=7200億ベクレルとなるのですが、100億ベクレル少ない)
  ④水位の低下量:4cm→0.04m
  ⑤原子炉の冷却水から放射性セシウムを除去した汚染水である
  ⑥漏水の分析結果:6000ベクレル/1cm³ (トン単位の水が漏洩しても放射性物質濃度は角砂糖程度(1cm³)の量の濃度で表示されます)→600万ベクレル/kg
  ⑦当時の貯水量:13000トン

試算の過程
1) 2号の総貯水容量を求めます:(地下貯水槽は上が大きい台形の形状)
      ①から掘削勾配1:0.5(岩盤掘削)と仮定して
     (62+56)/2×(55+49)/2×6≒18000トン→漏水時⑦の貯水率は、約70%であった。
2) ⑦のときの貯水位:61m×54m×4m≒13000トン→約4mであった。
3) ④から、61m×54m×0.04m≒130トン→報道では120トンと記載→ここも10トン少なく広報か?

【事故直後の意図的放出量との比較】
1) 放射性ヨウ素の放出量 15;乗数(上付き)の意味
  2011年4月1日~2011年4月6日間の漏洩   :I―131  2.8×1015ベクレル
  2011年4月4日~2011年4月10日間の意図的放出:核種不明  9.4×1011ベクレル
  2011年5月10日~2011年5月11日間の漏洩 :I―131  8.5×1011ベクレル

2) 前述のように汚染水は、2号貯水槽からの漏水120トンで7100億ベクレル(Bq)として、濃度は約600万Bq/kgとなります。
 2号貯水槽の放射性物質の総量:600万/kg×1000(1トンあたりへの換算で)×13000トン=7.8×1011ベクレル→78兆ベクレル

3) 2号貯水槽全体の放射性物資量(ベクレル)は、2011.4.1~4.6間の漏洩の約1000分の1のオーダーに相当する。
4) 漏洩した120トンの汚染水は、2011.4.4~4.4.10の意図的放出や同5.10~5.11の漏水に放射性物質量と同等のオーダーといえる。

(以上)

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