2012年3月25日 おそれて、こわがらず / 権上かおる

みなさま
権上です。

放射線の健康影響への不安は、どなたもお持ちだと思います。(「私は関係ない」と会話も成立しない方の多くもおびえている裏返しの方も多いです)

まして、小さなお子さんのお父さんお母さんの心配を思うと本当に辛いものがあります。
専門家からの発信も様々で、さらに不安が増します。
しかし、不安に陥るばかりでは、子どもたちを守ることはできません。
警告の主旨を、危険性を、知ることから始めましょう。3つの意見を以下に貼りました。
参考のひとつになさってください。

1)この夏に日本語訳も出版されるようですが、以下のジャネットシャルマン博士(毒性学)への
インタビューも3.11数日前のビデオ撮りですが、チェルノブイリの影響調査から、
原発事故への警鐘を鳴らしています。

チェルノブイリ~大惨事の環境とその後の人々への影響
執筆者;ジャネットシャルマン博士(毒性学)ヤブコロク、ネステレンコ博士
ニューヨーク科学学会 発行
“Chernobyl: A Million Casualties” | Universal Subtitles

以下ビデオの抄録
・1986~2004年 に事故影響で98万5千人が亡くなった。さらに増え続けている
・IAEA((原子力推進の立場の)国際原子力機関は、死者4000人と発表)
 同チェルノブイリフォーラムは350の論文をもとに算出した数字
 一方、ヤブコロク、ネステレンコ博士は5000以上の論文を基にしている
 論文だけでなく、現場にいた人(医師、科学者、獣医、保健師など)の声を多くひろう
・その特定は公開された医学的データをもとにした
・その死因;癌、心臓病、脳障害、甲状腺ガンなど様々
・実際にデータをまとめると、前述だけでなく多臓器不全、免疫機能、肺、眼内レンズ、皮膚など
 すべての臓器が放射線の悪影響を受けている。
 人間だけでなくあらゆる生き物、魚、木、バクテリア、ウイルス、狼、牛など
 生態系のすべてが変わってしまう
・子供たちも多く亡くなる;胎内死亡、先天性障害
・WHOはIAEAと1959年に協定を締結し、現在に至っている
・協定内容は、「一方が他方の許可なしに調査書の発表を禁止」するもの
・ベラルーシの子供の8割は健康とは言えない状態。知的障害も多い
 胎児のときに放射線被ばくによりあらゆる細胞が影響を受けるため
・事故の「清算人」と呼ばれる軍から派遣され、事故処理対応を行った
 18歳から30歳の若者に限れば、実に15%の死亡率

2)バンダジェフスキー博士 講演会(医師向け)2012年3月18日
(ベラルーシの医師・病理解剖学者。ゴメリ医科大学初代学長。チェルノブイリ原発事故影響を調べるために、被曝した人体や動物の病理解剖を行い、体内臓器のセシウム137などの放射性同位元素を測定する研究を行い、投獄された経験もある。3月に日本縦断講演をされたそのひとつ。1)にも論文は採用されている)

放射能の人体に対する影響を現実の影響に基づいて研究した。
60Bq/kgがマックスであった(博士自身の身体汚染)。
子供・動物・お年寄りなど全てを対象に研究した。
内部被爆の研究をおこなった。

博士が行ってから初めてチェルノブイリの放射能測定が始まった。
ベラルーシにはきれいな場所がない。今はみんな絶望している。
ゴメリ市では子供一人あたり40Bq/kgの被爆を受けている。
行政には無視され続けた。(逮捕・投獄され大学と自宅から研究資料をほぼ全て持ち去られて、プレパラートを破壊された)

財政支援
国からはもらえなかった。
日露シンポジウムを行った(心疾患について)
論文を発表し、世界的に支援を受けてきた。

ベラルーシには民主主義がない。現在も入国できずウクライナに住んでいる。
95年にほぼデータを集め、論文を発表した。
子供たちは研究対象に適している(生活環境が一定しているため)。

亡くなった人たちの臓器の放射線測定、動物実験もおこなった。
(放射性セシウムの計測)
1960年代には既にセシウムの汚染があった(ベラルーシ他)。(Marey AN, etal.1974)
(核実験によるものか?)

チェルノブイリ事故では、モスクワに汚染が広がらないように人工雨をゴメリ周辺に降らせた。そのため子供がたくさん死んだ。
ウクライナの中ではイワンコフ地区の汚染が一番ひどい。
企業がないので貧乏で情報もない地域であった。(無権利状態)
強制収容所のようなものである。住民は何も知らない。

ルカシェンコ大統領(当時および現ベラルーシ)に「子供たちを守るプログラム」を提言してきた。国が人々の健康を守らなければいけない。
旧ソ連は日本と同様、国は事故の影響を少なく見せようとしていた。
反核運動が起こらないようにするためである。
自身にはたくさんの著作があり、出版したい。

ベラルーシでの死因
心血管疾患(52.7%)、悪性腫瘍(13.8%)である。
心筋異常で突然死する人が多い。セシウムが心筋を破壊するため。
腎臓では糸球体壊死、空胞化が起こる。
コルチゾールの低下(新生児)などホルモン系の異常がみられる。

新生児
発達障害28.9%
神経系異常18.86%
内分泌系異常16.35%
※ 三つ口、低体重児(奇形の増加)などが起こる。
脳や器官の先天異常は死亡してから解剖によって判明する。

小児甲状腺癌はかなり発生した。放射性ヨウ素だけでなく、セシウムが甲状腺に一番沈着しやすいためである。博士の13歳の娘も甲状腺癌になり、フランスで手術を受け一命をとりとめた。定期的にスクリーニングを行うべきである。進行が早いという特徴がある。

ベラルーシには先天性異常研究所があった。チェルノブイリ事故後、放射能との関係を研究した。(内容は漏洩しないように言われていた)その後、閉鎖となった。
ベラルーシでの研究結果は政府に否定されてしまっている。
妊婦、授乳期の女性へのクリーンな食べ物の提供が大切である(イワンコフ地区・ウクライナ)。
これにより、先天異常、遺伝子異常を抑制できる。

食料品の放射性物質は毎日摂取することにより体内に蓄積する。したがって、規制値以下の食品を毎日摂っても同様である。
内部被爆量を測定するには、ホールボディーカウンターを使うしかないが、日本では一部の人を除いて不可能である。
尿中セシウムから内部被爆量を推測することは現時点では不可能である。
シーベルトは被爆量を表すには適当な単位ではない。Bq(ベクレル)で表示すべきである。
現時点で東京の住民も直ちに西へ避難するべきだと考える。
それほど放射能とは恐ろしいものである。

3)チェルノブイリで小児甲状腺ガンの治療にあたっていた甲状腺専門医である菅谷松本市長インタビュー
福島市、郡山市でも、「こどもたちは避難を」と呼び掛けています。 http://www.fng-net.co.jp/itv/index.html

以上

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