みなさま
権上です。
汚染水問題その3です。
訂正です。汚染水の核種は公表されていないのではなく、これまで報道が少なかったようです。4月20日にいろいろな新聞にも見られましたが、ストロンチウム90、セレン79、水素3などが主成分の核種といえそうです。多核種除去装置対象核種が62種だそうで、専門分野では当たり前のことでしょうが、 放射性物質の数の多さを突きつけられます。
水素3は、最近報道が多いトリチウムで、ほとんど水と同じ成分と言えるため、除去の方法がないそうです。これが漏れした汚染水の主ではないかと言う専門家のご指摘もいただきました。
●10年で汚染水は海へ到達
同じく20日の新聞で報道されました。これは、土壌の透水係数(土中の水の流れやすさを示すもので、値が大きいほど水が流れやすいことを示す)により算出されたものです。この値のとり方で、どうにでもなりますし、また長ければいいと言うことにもなりません。仮にサイト内がきれいに片付いても、10年後に汚染水が海に現れます。地震、津波によるひび割れや水みちへの考慮が必要と言われる専門家もおられます。
●貯水槽構造について
いくつかの質問をいただきました。いろいろ調べましたが一般論として読んでください。
【漏水感知センサーの密度は?】
通常は10mか5mグリッドでの検知で行っているようです。今回の大きさを考えれば5mを敷設がこの用途の常識か。
【第2貯水池の上を人が歩いている。どうなっているの?】
第2の汚染水移送が難航しているのは、蓋掛けしてしまったためと言われています。蓋材をかけただけではたわみますので、下側にブイのようなプラスチックボールでたわみを防ぐのだそうです。蓋材は、おそらく高分子材料、遮蔽のために、その上に土盛りをするのだそうです。
【下面のシートの上においたコンクリートが割れてシートを破いた報道(福島民報2013.4.20)】
東電が4つの原因(底のひび割れ、のり面接触部、のり面の孔付近、貯水槽の角の防水シートの継ぎ目)の推定を公表「いずれも水圧で構造物破損と推定」
どれをとっても4面コンクリート構造物にする必要があったことを示しているのではないでしょうか?水位4mで底がひび割れだとしたら、コンクリート厚は薄いものだという指摘もありました。
【大量の水を溜めるための構造物か】
産廃処分場で使われるもので、大量の水は初めての事例でしょう。エンジニアの方から、初めての技術を使うための「技術の予見可能性」についてメールをいただきましたので、許可をいただき以下に記載します。
「技術というものは、科学的知見および過去の経験則を踏まえ、一定程度の予見を固め たうえで実施されるものである。一定の予見の基に行われるから、その結果は多くの場合はその予見の通りに実現される。大きなエンジンを積んだ車を作ればエンジンが大きくなった分だけ速度を向上できるというようなものである。しかし、技術の予見可能性とは絶対の予言ではない。言葉の真の意味での「想定外」というものが常につきまとうのであり、それが技術の難しさである。今回の大量漏洩事故については、東電は、爆発事故直後に、暫定での貯留をせざるを得なかったとして、そのための貯留池を作ったときに並行して同型の貯留池を作って常に貯留水の厳格な管理を続け、さらに恒久的な貯留槽を準備するということが唯一のあるべき方策であった。未確認の技術を適用する場合には、必ず失敗の可能性があることを認識し、失敗の予兆を掴み、失敗時の対応策を準備しながら稼働させることは常識中の常識である。この技術の原則を軽んじた東電は、あらためて原子力技術を扱う資格がない と断罪されるべきであろう」
●「すずらん」という低濃度放射性核種除去専用船をご存知の方おられますでしょうか?
原子力潜水艦が放射性物質を垂れ流すのに対して、日本が旧ソ連に贈ったものだそう。 今回の事故に際して、戻そうかの打診に日本はなにも返事をせず、そのままになっているのだそう。これは使えないのでしょうかねえ。
以下外務省のHPです。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/kyuso/suzuran.html
以上