銭湯は体を洗うという衛生の面で、町にはかかせないものだが、それだけではない。
毎日通うことで生活にリズムができ、人に会うことでリフレッシュになる。
子どもがよその大人にマナーを教わったり、情報交換など、コミュニケーションの場としても、町の中で大きな役割を担ってきた。
根津の山の湯は、3月11日の震災で煙突に穴が開いてしまい、安全のため急いで煙突を解体、休業が続く。借家のため、再開のめどは立っていない。
山の湯には、家に風呂がない人はもちろん、ある人も多く通っていた。再開を望む声はあちこちから聞こえる。
そんな中「休業中の根津・山の湯に入ろう!〜煙突もカランもお湯もないけれど、これを最後にしないための見学会〜」が開かれた。主催は、谷根千からこれ以上銭湯を失いたくない風呂好き連中=略して「銭風連」。
昨年に谷中の世界湯、初音湯が続けて廃業し、大きなショックを受けたが、山の湯はどうなるのだろうか。
今なら存続の可能性もまだありそうだ。
(川原理子)