5月9日 おそれて、こわがらず / 権上かおる

1)野中先生(新潟大・土壌学)のブログをご覧の方には重複しますが、以下現地調査の速報です。

5月6日~7日にかけて、日本有機農業学会のメンバー(新潟大学からは3名)、茨城大学、中央農研センター、東北農試、農村工学研究所、東京農工大学等のメンバーで現地調査と相馬町、南相馬町、二本松市の30Km 、20Km、40Km圏内農家多数と飯舘村農家から話を聞くことができました。

相馬町では水田面積の40%が津波の被害を受けて、コメの生産量では60%程度が今年作付できないとのことです。飯舘村は昔からのやませの通り道で冷害多発地地帯でしたが、それを克服するために有畜複合と多品目栽培農業村として自立してきました。今回はやませの代わりに放射能の通り道となってしまいました。飯舘村では過去の冷害が発生しやすい田んぼと土壌汚染分布に相関がありそうです。

福島県は原発問題があり、復興が大変遅れている印象です。
改めて、詳細は紹介しますが、地元農民から農業復興のための支援を求められており、土壌学研究室としては出来る限りお手伝いする予定です。

それぞれの地域で抱えている事情が異なります。画一的な対策でなく各市町村のそれぞれの地域に応じた対策が必要です。
たとえば、南相馬市では土壌汚染程度が低くても、来年以降稲作を行おうとした場合、その水源は飯舘村にあります。地形から水源地には汚染された水が集中しそうです。
飯舘村では村の微地形と現在の土壌の状況(裸地、草地、耕作地など)で隣同士の田畑でも土壌汚染程度が異なりそうです。
二本松市では森林も含めて、土壌汚染がどうなっているか、一番心配していました。きのこ・山菜に対する影響を心配していました。
なお、相馬町では津波(約15m)が来た時、津波の轟音(ブルトーザーが100台ぐらい押し寄せる音)と家がきしみ、壊れる音、人の叫び声(悲鳴)の3重の音が聞こえ、聞いた人は1カ月程度その音が耳から消えなかったと話していました。

新潟大学土壌研 ブログ http://blog.goo.ne.jp/soil_niigata
2)「最近は放射性物質の降下量は確実に減っている。堆積物の舞い上がり粉じんが大きな問題」
上記は、モニタリングの専門家の意見です。「放射性物質は、表層5mm位に薄く堆積」とも。
新潟大学ブログにもあるように「この地域の土壌は火山灰土壌が多く、飛散しやすいため、梅雨前に土を削り、管理型の廃棄物処理場に優先的に埋め立てるしかありません。東京電力が責任を持ってこれも廃棄物処理場も今から準備すべきです」
連休の最後にニュースで流れた校庭の土80cm四方の上下を入れ替える実験がいかにナンセンスかわかりますね。

3)浜岡停止がやっと確定しました(5・9)
すると、「電力不足はどうする」の大合唱になっています。NPO環境エネルギー政策研究所試算でも対応可能とされています。http://www.isep.or.jp/
【要旨】
・【短期的な電力需給】今春から夏の需要ピーク時(1 日最大電力予想=発電端で5,755 万kW)にかけて、
とくに需要側への適切な措置~特に大口需要家との需給調整契約の戦略的活用~を行えば、短期的にも
無計画な「計画停電」を実施しなくても、十分に対応可能であることが明らかになった。
・具体的には、福島第一原発と第二原発はもとより、柏崎刈羽原発を全機停止したとしても、最大で270 万
kW の供給不足に対して、以下の措置により1100 万kW 以上の需要引下げ効果が期待できるものと考える。
・家庭~50kW 未満は、一律、契約電力(アンペア数)を2割引き下げて250 万kW の引き下げ効果
・50kW~500kW は、ピーク料金を設けることで200 万kW 程度の引き下げ効果
・500kW~2000kW は、ピーク料金から開始し、順次、需給調整契約に移行して150 万kW 程度
・2000kW 超は、原則として政府あっせんによる需給調整契約によって500 万kW 程度

以上

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