津軽から加藤鉄監督を迎えて
『フクシマからの風』『田神有楽』を一挙上映!
加藤鉄監督は1995年から4年間、青森県六ヶ所村に通い、『田神有楽』を完成させたあと隣町に移住、ひとり畑づくりの生活に飛び込みました。そして2011年、福島原発事故の1か月半後に飯館村、南相馬、川内村に入り、『フクシマからの風』が生まれます。この2作品に共通して描かれているのは、原発という巨大な文明の対極で、めぐる季節にそって心豊かに暮らす人びとの姿。そこから私たちはどんなメッセージを受け取ることができるでしょうか?
各回の上映後に加藤監督のお話やトークセッション、交流カフェなどがあります。
『フクシマからの風――第1章 喪失あるいは蛍』(2011年/100分)
福島県飯舘村と川内村で、原発事故後も村に残り、山野の自然とつながった暮らしを淡々と続けている人びとを描きます。裏山で山菜や薬草を研究する仙人のような老人、妻を亡くして山奥にひとり住むどぶろくづくりの名人、70年代から続く共同体の村に残り養鶏を営む夫婦など、登場するのは、変化へと勇気をもって一歩踏み出していこうとする人びとです。3.11以後の人生の静かなドラマを寄り添うように記録しながら、フクシマ原発事故の問題を、人間が生きていくという原点から見つめます。
http://fukushima.xrea.jp/
『田神有楽――下北半島/六ヶ所村』(2002年/113分)
青森県六ヶ所村の「核燃料サイクル施設」は核廃棄物の貯蔵処理基地として建設された世界最大規模の原子力施設。1995年4月にフランスから高レベル放射性廃棄物が初めて六ヶ所村に搬入されてからの3年半、揺れに揺れる村の人びととさまざまな出来事を記録する一方、ただひとり土地を売らず稲をつくり、森や神社を守り続ける小泉金吾老人の姿を丹念に追い、その魂に迫ります。土と沼と海に生きる人びとの心と願いをゆるやかな時の流れの中に描いた長編ドキュメンタリー。
http://www.minipara.com/movies2002-4th/denshin/
加藤鉄監督プロフィール
1951年生まれ。学生時代より映画を撮り始め、初監督作はPFF入選作品『愛していると言ってくれ』(8㎜、1980)。『寓話・伝令』(16㎜、1983)はオーストリア・ブルーデンツ国際映画祭監督賞受賞。脚本も担当した『グッドバイ』(35㎜、1989)はATG映画脚本奨励賞を受賞。『ただひとたびの人』(16㎜、1993)ではトリノ国際映画祭審査員特別賞を受賞。その後『田神有楽』(16㎜、2002)、『フクシマの風』(HDV、2011)。※劇映画作品については「加藤哲」の名前で発表。